借り上げ社宅の原状回復トラブルを回避するための対策4点

社宅担当者の悩みのひとつとして、退去時の原状回復トラブルがあげられます。
今回は原状回復トラブルを未然に防止するための対策をご紹介いたします。

1.物件確認の徹底とチェックリストの活用

原状回復トラブルのひとつとして、傷や汚れ(以下、損耗)の発生時期をめぐる、入居者と貸主側の主張の食い違いがあります。

これは、入居時点の損耗状況を、貸主(管理会社)と入居者の記憶だけを頼りに認識共有していることがひとつの原因となっており、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(以下、ガイドライン)」では、チェックリストを用いて入居者・貸主(管理会社)双方立ち合いのもと、具体的に損耗状況、箇所について記録し、合意することが重要であると記載されています。

そのようなチェックリストを用意していない貸主(管理会社)もいるため、ガイドライン(P.4~5)を参考に借り上げ社宅用のチェックリストを自社で用意しておくと良いでしょう。

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

2.原状回復に関する契約条件の確認

ふたつめの原因として、契約上の原状回復義務を入居者が正しく把握していないことにより発生する、認識相違があげられます。

ガイドライン上、原状回復とは借主が借りた当時の状態に戻すものではないという解釈であり、通常の損耗や経年変化は基本的には貸主負担となります。

しかし、そうした原状回復義務を借主負担とする等の特約条項が設定されている場合は、特約条項の方が優先されるため、その内容を入居者が認識していない場合、トラブルに発展することがあります。

そのため、入居者が原状回復費用の負担者である場合、しっかりとその契約条件を認識しておくことが重要です。

借り上げ社宅における契約手続きの際は、契約締結前に契約書を従業員へ開示することや、あるいは重要事項説明を従業員に必ず受けさせるなどして、契約内容を把握してもらう運用を検討すると良いでしょう。

3.社宅規程への費用負担区分の明記

借り上げ社宅における原状回復をめぐる会社と従業員間のトラブル防止策としては、社宅規程に費用負担区分を明記することが重要です。

原状回復における費用負担区分は、転居理由別の負担区分(例:転勤による転居=会社負担、社員の個人的な都合による転居=個人負担 等)だけでなく、部位別に損耗状況や程度、原因等に応じた負担者を明記することも重要になります。

以下の表は国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で定められた貸主と借主の負担区分を定めた表ですが、このうち「賃借人の負担となるもの」について、会社と従業員の負担区分および負担割合を定めておくとよいでしょう。


出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

4.誓約書の活用

記で述べたような認識相違をなくす取り組みに加え、社宅規程などを遵守してもらうため、入居前に入居者から誓約書を提出してもらうという方法もトラブルに対する抑止力となり、有効な対策といえるでしょう。

【参考】誓約書の具体的な項目例

・社宅管理規程を誠実に遵守いたします。

 

・会社に対して一切の損害を与えることのないようにいたします。

 

・賃貸借契約における入居者の誓約事項を遵守いたします。

 

・社宅を大切に取り扱い、万が一故意過失等の損耗により原状回復費用が発生した場合、
 全額自己負担いたします。

 

・会社の許可なく居室を改修いたしません。

 また、許可を得て改修した場合についても退去時の原状回復費用は全額自己負担いたします。

 

・ペットについては、社宅管理規程や賃貸借契約上のルールを遵守し、無断で飼育をいたしません。

 

・会社の定める所定期日までに退去いたします。

 

上記に加え、社員負担となる費用がある場合は誓約書に盛り込み、入居前に了承を取り付けることも有効です。

ただし、誓約書を活用する場合、回収・保管するという手間が発生するため、トラブルの発生状況などを踏まえて運用を検討しましょう。

5.さいごに

原状回復をめぐるトラブルを未然に防ぐためには、入居前の物件状況の確認と契約条件の確認が重要です。

そのうえで従業員に対してわかりやすい規程、費用負担区分を整備し、場合によっては誓約書等を活用していくなど、状況に応じた対策が必要となります。

また、そもそも原状回復費用を極力発生させないために、社宅を大切に使うことを啓発することも社宅担当者としての重要な役割といえるでしょう。

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