人事異動が多い時期の転勤で起こる問題とその対策

人事異動は、年度初めに行う企業が多いことから、1年のなかでは4月1日付が最も人事異動が行われる時期です。企業によっては数百人が人事異動の対象となり、転勤の際の物件手配や引っ越し手配において、トラブルが発生しやすいのもこの時期となります。

ここでは、毎年定期異動を実施されている企業向けに、転勤時に想定される問題と、その問題を解消するための手法についてご紹介します。

1.人事異動が多い時期の転勤で想定される問題

転勤者は後任者への引き継ぎや、新たに赴任するための準備に加え、転居に関する様々な手続き対応が必要になります。

  • 今住んでいる物件の退去手続き
  • 新居探し、新居の契約手続き
  • 引っ越しに関わる手続き
  • 子どもの転校手続き
  • 役所手続き(住民票)
  • 社内手続き(住所変更、通勤定期 等)
  • 水光熱費の停止、郵便の転送 等

通常の時期であっても転勤は大変なことですが、これが不動産業者や引っ越し業者の繁忙期と言われる3~4月や9~10月の時期は、さらに問題が生じやすくなります。

■人事異動が多い時期の転勤で問題となること

  • よい物件を見つけても契約前に、他の人が契約してしまう
  • 引っ越し日が調整できない、希望日に引っ越しできない
  • 引っ越し代が繁忙期価格で高い

現在住んでいる物件の解約、物件探し、引っ越し手配、新たな物件の契約は連動して進める必要がありますので、どこかで問題が起こると他にも影響を与えてしまいます。

例えば、引っ越しが当初予定から3日ずれてしまうだけで、退去日もずれ、解約時の日割り家賃に影響するケースもあり、家族の移動日や新居の入居日などスケジュールにも影響してしまいます。それらの調整ができない場合は、家族の移動日をずらしたり、ホテルを利用したりする必要が生じます。また、転居先への交通手段(新幹線や飛行機)の予約変更なども必要です。

ただでさえ、転勤することは社員やその家族に大きな負担がかかりますが、異動が集中する時期はその負荷がさらに高まる可能性があります。また、会社側の目線では、引っ越し費用の高額化やホテル代の発生など、転勤コストが増えてしまう懸念もあります。

2.コロナ禍の転勤はどうなるだろうか

2019年の3~4月は他の年と比較しても特に繁忙な時期であり、引っ越しができない人が続出しました。「引っ越し難民」というワードが新聞などのメディアで多く取り扱われたためご存じの方も多いのではないでしょうか。

しかし、2020年以降は「引っ越し難民」などで話題になることもなく、繁忙状況も緩和してきています。では、コロナ禍ではどうでしょうか?
 
一部の企業ではコロナなどの影響から、転勤自体を減らす・転勤時期をずらすといった声もあり、引っ越し時のPCR検査と2週間の自宅待機期間を設ける場合もあるようです。とは言え、多くの企業は例年通り人事異動を発令しており、コロナ禍においても、異動時期が集中することに変わりありません。先ほど例示した問題が発生する懸念は十分にあるといえます。

3.対策事例の紹介

ここまでは人事異動の多い時期の転勤における問題について書いてきましたが、ここからは問題への「対策」について触れていきます。

転勤に関わる問題についてのニュースなどを見た際に、よく対策として書かれているのが「転勤をなくす・へらす」という内容です。確かに、転勤が無くなり、人が移動する必要がなくなれば、退去も引っ越しも必要ないので、問題は発生しなくなります。

しかし、事業上の理由などで転勤は必要と考える企業も多く、今まで実施してきた転勤をすぐになくしたり、へらしたりすることはできるでしょうか?

ここでは、より現実的な対策として、他社事例を紹介します。

■A社事例

4月1日着任の人事異動について、例年は4月1日から配属先での出勤を必須(=3月中の引っ越し完了)としていましたが、2019年より4月1日必須のルールを撤廃。3週間の猶予を設定し、4月20日を着任の目安としました。

対策は『日程の猶予を設けただけ』です。
しかし、効果は絶大でした。

■対策による効果
  ✔ 物件探しに余裕が出て、社員から高い評価
  ✔ 引っ越しの日程が確保しやすくなり、トラブルが激減
  ✔ 引っ越しの繁忙期価格が不要になる (昨年比1,500万円のコスト削減)
  ✔ 引っ越し日調整のためのホテル代も激減

システムの構築や、新たな取り組みをしたわけではなく、単に転勤時の転居期間に猶予を設けただけで多くの問題が解消できました。また、社員からは好評、コスト削減も実現でき、対策は大成功となりました。それ以降、A社では毎年同様の対策を実施されています。

4.留意すべき点

シンプルな対策により、問題の解消が期待できますが、全ての企業で簡単に実施できるわけではなく、留意すべき点があります。

  • 業務特性上、期間の猶予が設けられない場合は難しい
  • 家族の都合(学校など)で、3月末~4月初旬の引っ越しを希望する社員への対応
     
    先ほどのA社でも、上記を留意したうえで対策を実行しています。世帯の場合は家族の事情は優先可としており、結果、世帯の場合は4月初旬に引っ越し、独身・単身の場合は20日前後に引っ越しとなるケースが多くなったようです。

5.さいごに

転勤者は短期間に様々な手続きを行わなければならないため、負担は大きく、強いストレスを感じています。
異動期は業者の繁忙状況もあり、さらに負荷がかかることから、既に問題意識を持っている企業もいます。

今回ご紹介した対策は一つの事例ではありますが、大変シンプルな対策で大きな効果を享受した事例でしたのでご参考になるかと思い、紹介しました。

企業毎で業務特性も転勤の目的も異なりますので、全ての企業に当てはまる事例ではないかと思いますが、自社の問題解決のヒントとなれば幸いです。

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