働き方改革、生産性向上、健康経営、人材育成など…これらの経営課題に加え、2020年から続くコロナウイルスの感染拡大に伴い、企業はさまざまな対応を求められています。
ここでは、転勤制度に関するアンケート調査結果を紹介しながら、企業の転勤制度に対する考え方や住宅制度との関係についてご説明します。
1.変わり始める転勤制度
古くから、日本企業に根付いている転勤制度。これまで社員は転勤することを前提として入社し、企業側もまた、強制的に転勤させることを当たり前としてきました。
いま、この転勤制度に新たな動きが見られています。
企業A … 強制転勤の廃止(強制的な転勤を廃止し、希望者のみを転勤させる)
企業B … 事前相談制の導入(今後の勤務地や職種について事前に社員と相談を行う)
企業C … 猶予期間の設定(ライフイベントに応じて転勤猶予期間を設ける)
2.転勤制度に対する企業の考え
そこで、当社は転勤制度とそれを支える社宅制度に関するアンケートを独自に実施しました(一部抜粋)。
■集計期間:2019年8月~10月
■回答社数:約300社(回答企業の業種・従業員規模は不問)
■回答企業の平均従業員数:約4,500名
2-1.転勤制度はなくならない
転勤制度に何らかの課題を感じつつも、転勤そのものの廃止を検討している企業はほとんどありません。
2-2.転勤制度の課題と見直し
具体的な転勤制度の課題と見直しに関するアンケート結果は次の通りです。
転勤制度の廃止予定はないものの、育児や介護などの様さまざまな事情から転勤を嫌がる社員が増えてきていることは確実であり、「会社を辞めずに転勤してもらう」ため、少しでも社員の意向に沿った働きやすい環境を整備することが必要とされています。
3.より転勤制度を機能させるために
転勤制度と住宅制度は密接に関係しています。
なぜなら、住宅制度は転勤時の不満・不安(煩雑な手続きや経済的な負担)を軽減する重要な役割を担っているからです。
つまり、住宅制度の見直しが、働きやすい環境づくりの有効的な手段として考えられます。
■転勤による不満・不安を軽減させるための住宅制度の見直し(例)
- 物件探しの基準となる家賃条件の定期的な見直し
- 社員が安心・安全に暮らすための社宅のセキュリティレベル維持・向上
- 単身赴任の適用要件の緩和(または撤廃)
- 単身赴任手当の増額、単身赴任者の帰省旅費支給回数制限の緩和
4.さいごに
現在、企業をとりまく環境は急速に変化しており、社員のニーズも多様化していることから、企業の諸制度に対する見直しの必要性は高まっています。
転勤制度もその必要性が高い制度のひとつと言えますが、アンケート結果からは、見直しの動きはまだまだこれからであることが分かります。
転勤制度は、社員の生活や満足度に大きく影響を与える制度です。
転勤による社員の不満・不安を少しでも軽減させるために、住宅制度も含めた自社の諸制度が、現在の環境や社員のニーズにマッチしているかどうか、一度議論されてみてはいかがでしょうか。