借り上げ社宅制度を持つ企業の社宅担当者であれば、一度は賃貸借契約の更新手続きを経験したことがあるのではないでしょうか。
ここでは、そもそも物件の更新とは何なのかよくわからないという社宅担当者の皆さまに、物件更新の種類や商習慣などを解説しながら更新時に社宅担当者として行うべきことや気をつけるべき点についてご紹介します。
目次
1.賃貸物件の更新とは?
1-1.契約更新が発生するのは普通借家契約
更新についてご紹介する前に、まずは賃貸借契約の種類について簡単にご説明します。
賃貸借契約には、①普通借家契約と②定期借家契約の2種類があります。
日本では①普通借家契約が一般的とされており、原則的には、契約期間満了後も借主が継続して住むことを希望する場合には、契約を更新することが可能です。(正当な理由がない限り、貸主側から契約の更新を拒否することはできません)一方、②定期借家契約の場合は契約期間満了とともに契約が終了するため、更新は発生しません。
①普通借家契約 … 原則、契約期間満了後も契約を更新できる
②定期借家契約 … 原則、契約期間満了により契約が終了する(=更新は発生しない)
つまり、賃貸借契約の更新が発生するのは、原則、普通借家契約のみということになります。
1-2.更新の種類
賃貸借契約の更新には、「合意更新」「自動更新」の2種類があります。
■ 合意更新
貸主・借主である当事者双方の合意によって契約が更新されることをいいます。
■ 自動更新
自動更新は、その名の通り、自動的に更新がなされるため、手続きは発生しません。
また、これまでの契約内容と同じ条件で更新されるため、家賃や共益費などのほか、更新後の契約期間についても同じ期間が定められます。
たとえば、賃貸借契約期間を2年間として契約を結んだ場合、更新のたびに2年間という契約期間が設定されることになります。
社宅担当者としては、煩わしい更新手続きの発生を避けるために、できる限り自動更新の物件を選びたいところですが、自動更新の契約は、地域差はあるものの年々減少しているようです。
1-3.更新は2年に1回が一般的
賃貸借契約期間が1年未満の場合、借地借家法第29条により期間の定めがないものとみなされるため、普通借家契約の場合は1年未満の契約はほとんどありません。
契約期間は物件ごとに異なりますが、借主側のライフサイクル(入学を機に賃貸物件への入居が増える短大生、大学生、大学院生など)を考慮して2年契約となっている物件が多いようです。
そのため、契約更新も2年ごとに行われます。
借地借家法第29条(建物賃貸借の期間)
期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす
2.更新通知が来たら行うべき3つのこと
2-1.契約条件に変更がないかを確認
更新通知とは、一般的に契約満了の2か月ほど前に貸主・管理会社から送られてくる通知書面です。
契約を更新する場合の必要書類や費用、支払期日、振り込み先などが記載されています。
更新のタイミングで賃料が改定されることもあるため、まずは書面をよく確認し、契約条件に変更がないかをチェックしましょう。
また、契約期間中の賃料改定については、ほとんどの場合「甲乙協議のうえ、改定することができる」旨が賃貸借契約書に記載されています。賃料改定に納得がいかない場合は協議となりますが、貸主・管理会社との関係性が悪化しないよう、慎重に対応する必要があります。
2-2.必要書類の提出
「更新契約書」「更新確認書」「更新同意書」など、契約を更新するために必要な書類やフォーマットは、貸主・管理会社によって異なります。
更新条件が記載された書面に、貸主・借主双方が押印するケースが一般的ですが、必要書類についても更新通知に記載されているため、確認漏れのないようにしましょう。
2-3.更新にかかる費用の支払い
賃貸借契約書に更新時の費用が定められている場合は、指定された期日までに支払いが必要です。
更新時に発生する主な費用としては、更新料、更新事務手数料、火災保険料などがあります。更新にかかる費用を社員負担としている場合は、社員への案内も忘れずに行いましょう。
更新料に関する記事はこちら
『更新料とは~社宅担当者が知っておくべき不動産基礎知識~』
3.まとめ
いかがでしたか。
物件ごとに賃貸借契約の条件が異なるように、更新にかかる費用や手続きも物件ごとに異なります。
貸主・管理会社からの更新通知を受け取ったら、まずは更新条件と必要書類をよく確認することが重要です。
また、社員負担が発生する場合は社員への連絡をしっかりと行うようにしましょう。