借り上げ社宅の基準賃借料とは、企業が社員へ借り上げ社宅を貸与する際に、物件の目安として設定する家賃額を指します。企業によっては「基準家賃」とも呼びますが、ここでは基準賃借料という名称でご説明します。
基準賃借料は物件の範囲を決める条件であるため、社員満足度に大きな影響をもたらします。
社員満足度に配慮しつつ、どの程度の物件を目安にするかをエリアごとに決めていくのは容易ではないため、悩まれる企業も多いと思います。
そこで、今回は㈱労務研究所が実施した「借上社宅の基準賃借料と家賃補助調査」のアンケート結果を基に、基準賃借料に関する数値をご紹介します。
1.借り上げ社宅の基準賃借料と家賃補助調査とは?
「借上社宅の基準賃借料と家賃補助調査」とは、㈱労務研究所が毎年行っている民間企業を対象としたアンケート調査です。
その調査結果は同社にて発刊されている「旬刊 福利厚生」誌に掲載されています。
今回は2021年1月発刊の「旬刊 福利厚生 2312号」に掲載されている「2021年度版 借上社宅の基準賃借料と家賃補助調査」の結果をご紹介します。
2.要素別の平均基準賃借料
アンケート調査では、基準賃借料を主要都市エリアごとに「職階、家族人数、間取り別」といった複数の要素に分けて集計を行っています。
ここでは基準賃借料の代表的な要素である「家族人数」「間取り」の要素に分けて平均基準賃借料をご紹介します。
【家族人数別平均】
【間取り別平均】
家族人数別では、「単身:7.2万円 3人:10.2万円 5人以上:11.2万円」となります。
人数区分別の金額を見ると、2人~5人以上の平均値は全国的に大きな差がないことが分かります。
これは独単身者と世帯といった2つの世帯区分を設定している企業が多いことが一因と考えられます。
住宅規模別では、「1DK:7.3万円 3DK:10.9万円 4DK:13.0万円」となります。
地域別の平均値でみると、全ての間取りで首都圏が最も高い数値となっています。
一方、各エリアで1DKの平均値を基準値として、他の間取りの平均値が1DKの平均値に対してどれくらいの倍率になっているのかを試算してみると、2DKは1DKの約1.2倍、3DKは1DKの約1.5倍、4DKは1DKの約1.8倍という倍率になっていて、これはどのエリアでも同じ傾向です。
【1DK 平均基準賃借料推移】
【3DK 平均基準賃借料推移】
1DKの単身向け物件の平均基準賃借料は、2015年まで低下または停滞傾向にあったものの、2015年以降は全調査対象地域において上昇傾向になっています。
一方で、3DKの世帯向け物件については、2010年以降、低下しています。
3.基準賃借料に対する使用料割合
【首都圏の基準賃借料と使用料】
首都圏の基準賃借料に占める使用料の割合は、単身はやや低い割合であるものの2人以上は全て25%後半から26%台を推移しています。
【首都圏の基準賃借料に占める使用料割合推移】
使用料の割合推移では2010年から上昇傾向が継続しており、10年前と比べて約7.2%増加しています。
これは安価すぎる社宅使用料を見直す企業が増加していることが要因の一つとして考えられます。
4.まとめ
今回は基準賃借料に関する数値についてご紹介しました。
基準賃借料の見直しの際に参考にしていただければ幸いです。
また、今回ご紹介した数値の詳細は、㈱労務研究所が発刊する「旬刊 福利厚生」誌に記載されています。
基準賃借料以外にも社宅・寮に関する様々な情報やアンケート回答、各社別の数値一覧などが掲載されていますので、ご興味のある方はこちらをご覧ください。