2023年版 借り上げ社宅の基準賃借料と使用料水準

借り上げ社宅の基準賃借料とは、企業が社員へ借り上げ社宅を貸与する際に、物件の目安として設定する家賃額のことをいいます。
定期異動期の中で「なかなか基準賃借料内で物件が見つからない…」など、社員からの問合せをきっかけに規程の見直しを検討する企業もいるのではないでしょうか。

ここでは、「2022年版 借り上げ社宅の基準賃借料と使用料水準」でご紹介した㈱労務研究所の「借上社宅の基準賃借料と家賃補助調べ」について、2023年版の結果を基に、基準賃借料と使用料についてご紹介します。

1.「借上社宅の基準賃借料と家賃補助調べ」とは?

「借上社宅の基準賃借料と家賃補助調べ」とは、㈱労務研究所が毎年行っている民間企業を対象としたアンケート調査です。
この調査結果は同社にて発刊されている「旬刊 福利厚生」に掲載されています。
今回は2023年1月発刊の「旬刊 福利厚生2360号」に掲載されている「2023年版 民間企業65社対象 借上社宅の基準賃借料と家賃補助調べ」の結果をご紹介します。

2.要素別の平均基準賃借料

アンケート調査では、基準賃借料を主要都市エリアごとに「職階、家族数、住宅規模」といった複数の要素に分けて集計を行っています。
ここでは、代表的な要素である家族人数別及び住宅規模別の基準賃借料平均をご紹介します。

【家族人数別平均】
※()内の数値は各都市別の単身の平均基準賃借料に対する倍率を示しています。
※主要都市平均には首都圏、京阪神、名古屋のほか、札幌、仙台、広島、福岡、沖縄の数値が含まれています。

家族人数別の主要都市平均は、「単身:7.2万円。3人:10.1万円。5人以上:11.0万円」となっています。
同じエリア内で家族人数別にみると、「2人」「3人」「4人」「5人以上」の平均値に大きな差はありません。
これは、2021年版、2022年版と同様の傾向ですが、家族数の区分を「独単身者」と「世帯」の2区分としている企業が多いことが一因と考えられます。

また、「単身」の主要都市平均を基準とすると、「2人」「3人」は約1.4倍、「4人」「5人以上」は約1.5倍となっており、2022年版とほぼ同様の結果です。

【住宅規模別平均】
※1 サンプル数が異なるため、「家族人数別平均」の数値と一致しません。
※2 1DK=1K、1LDK含む。2DK=2K、2LDK、3K含む。4DK=3LDK含む。

住宅規模別の主要都市平均は、「1DK:6.4万円。2DK:6.9万円。3DK:7.6万円。4DK:10.5万円」となっており、すべての住宅規模において、首都圏が最も高い数値となっています。
また、主要都市平均の「1DK」を基準とすると、「2DK」は約1.1倍、「3DK」は約1.2倍、「4DK」は約1.6倍となっており、首都圏・京阪神・名古屋においても同様の傾向です。

【1DK 平均基準賃借料推移】
1DKの単身向け物件の平均基準賃借料は、全調査対象地域において2015年版以降、上昇傾向にあったものの2023年版は低下しており、2005年版とほぼ同水準の金額となっています。

【3DK 平均基準賃借料推移】
3DKの世帯向け物件については2010年版以降、継続して低下しています。
2022年版と比較すると2023年版では、首都圏・京阪神・名古屋において、例年よりも低下幅が大きくなっています。

3.基準賃借料に対する使用料割合

【首都圏の基準賃借料と使用料】
※サンプル数が異なるため、「家族人数別平均」の数値と一致しません。

首都圏の基準賃借料に占める使用料の割合は、どの家族数においても25%~26%台となっています。

使用料の割合推移では、2010年から継続して上昇傾向であり、2010年と比べると約6.6ポイント増加しています。
借り上げ社宅の入居者は、家賃の約75%に相当する経済利益を受けていることになります。

4.まとめ

今回、2022年版に続き、2023年版の借り上げ社宅の基準賃借料と使用料水準についてご紹介しました。 
本調査では、基準賃借料の最終改定年が2016年以前である企業が60%超を占めているとの結果が出ています。
長年、基準賃借料の見直しが行われていない場合、設定金額が家賃相場と乖離し、選択できる物件数が減るなど、社員満足度の低下に繋がる懸念がありますので定期的に見直すことをおすすめします。

本調査の詳細は、㈱労務研究所が発刊する「旬刊 福利厚生」誌にて記載されています。
社宅・寮に関するさまざまな情報やアンケート回答、各社別一覧等が掲載されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。(https://rouken.com/
規程を見直す際の参考になりましたら幸いです。

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