普通借家契約と定期借家契約の違いとは?

物件の賃貸借契約には、普通借家契約と定期借家契約(定期建物賃貸借契約)の2種類があります。
ここでは、普通借家契約と定期借家契約の違いや特徴についてご説明します。

1.普通借家契約とは

普通借家契約は、契約期間満了後も借主が継続して住むことを希望する場合、契約を更新できる賃貸借契約です。居住用物件の賃貸借契約においては、この普通借家契約が一般的とされており、正当な理由がない限り、貸主側から契約の更新を拒否することはできません。
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2.定期借家契約とは

定期借家契約は、普通借家契約とは異なり、あらかじめ決まった期間で契約する賃貸借契約です。
契約期間満了とともに契約が終了するため、原則、借主は退去しなければなりません。契約期間満了後も借主が継続して住むことを希望する場合は、更新ではなく、貸主の合意をもって「再契約」となります。

国土交通省のHPでは、定期借家について次のように記載されています。

定期建物賃貸借は、契約で定めた期間が満了することにより、更新されることなく、確定的に賃貸借契約が終了する制度です。契約期間、収益見通しが明確になり、賃貸住宅経営の事業収益性の改善や不確実性の低減に資するため、持家が賃貸とされることも含め、ファミリー向けなどの良質な賃貸住宅が供給され、ライフスタイルに応じた多様な選択肢が提供されることが期待できます。

出典:国土交通省HP https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000059.html

定期借家契約は、貸主が転勤などで一時的に物件を賃貸に出していたり、建物の建て替えなどで取り壊しを控えていたりするケースがあるため、基本的には再契約できないものとして考えておきましょう。

■定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約
出典:国土交通省HP https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000059.html

3.社宅契約で定期借家が避けられているワケ

社宅として物件契約を行う際、次のような理由から、定期借家を契約不可としている企業も少なくありません。

3-1.更新ができない

定期借家契約は、原則更新ができません。
貸主の合意があれば「再契約」という形で住み続けることができますが、再契約の合意が得られない場合は退去が必要となるため、社員が別の物件に転居するための費用(入居中物件の退去費用や、新たな社宅の契約金、引越費用など)が発生します。
余計な費用やトラブルを発生させないためにも、契約不可としているケースが多いようです。

3-2.原則、途中解約ができない

定期借家契約の場合、特約事項への記載がなければ原則は途中解約ができません。
また、特約の内容によっては、違約金の支払いが条件になるケースもあるため、余計な費用を抑えるために契約不可としているケースが考えられます。

ただし、定期借家契約であっても、以下3つの条件を満たせば途中解約の申入れを行なうことができます。

①居住用の目的で使用していること
②床面積が200平米未満であること
③やむを得ない事情により使用を続けることが困難であること

「やむを得ない事情」とは、一般的に、病気による療養や遠方に住む親族の介護、転勤などといった、契約時点では予測できない事態を指します。
社宅の場合、居住用且つ200平米未満であることがほとんどであるため、③の条件が適用されるか否かがポイントとなります。
よって、「やむを得ない事情」として認められなければ、途中解約ができないため注意が必要です。

一方で、定期借家契約は、賃料や初期費用が比較的安価に設定される傾向にあります。
普通借家契約よりも借主に不利な条件が多いため、借り手がつきにくいといった事情があるためです。
社員の転勤期間があらかじめ決まっているなど、契約が更新できなくとも問題がない場合は、定期借家契約の方がメリットを得られるケースもあるため、入居する社員の事情に合わせて比較してみるとよいでしょう。

4.まとめ

普通借家契約と定期借家契約の違いについてご理解いただけたでしょうか。
このふたつの契約形態についてしっかりと理解し、社宅に入居する社員の事情や目的に合わせてうまく使い分けることができるとよいでしょう。
これから社宅制度の導入を検討される皆さまや、社宅ルールの見直しを検討される皆さまは、ぜひ参考にしてみてください。

 

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