借り上げ社宅の契約には敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用が発生します。
これらの費用は、世間一般的にも広く知れ渡っていますが、具体的に何に対する費用なのか、はっきりと説明できる方は意外と少ないかもしれません。
今回は、社宅担当者として知っておくべき不動産基礎知識として、敷金の定義や社宅管理上の取扱いについてご説明します。
1.敷金とは
敷金とは、賃貸物件を契約する際に貸主へ預け入れる費用のことで、家賃を滞納してしまったときや部屋を損傷してしまったときの修繕費を担保することが目的です。
通常、物件を解約する際に、敷金から原状回復費を差し引いた金額が借主へ返還されます。
また、敷金と同じ意味合いで「保証金」と記されていることもあります。
1-1.敷金の返還時期
一般的には、物件を退去したあと1か月ほどで借主へ返還されます。
民法第622条の2(使用貸借の規定の準用 敷金)には、賃貸借契約が終了し、借主から貸主へ物件が明け渡されたときに敷金の残額を返還する旨が明記されています。
また、賃貸借契約書に具体的な返還時期が記載されている場合もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
1-2.敷金の相場
敷金の相場は、おおよそ家賃の1か月分です。
国土交通省が実施した調査でも、敷金・保証金の相場について下記の通り報告されており、「家賃1か月分」が半数を超えています。
※参考:令和元年度 住宅市場動向調査報告書(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001348002.pdf
ただし、主に関西地方や九州地方、東北地方では上記相場よりも高くなるケースがあります。
中でも、関西地方や九州地方をはじめとする西日本エリアでは。敷引という地域慣習があります。
敷金とは違う仕組みを持っており、貸主へ預け入れた金額のうち一部は返還されません。
2.敷金の資産計上
借り上げ社宅を契約する際に預け入れる敷金は、借主(企業)へ返還される費用であるため経費ではなく会社の資産とみなします。
よって、新規契約時に資産計上し、解約時に取り崩す経理処理が必要となります。
3.さいごに
今回は不動産基礎知識として、敷金についてご説明しました。
敷金から差し引かれる金額は、あらかじめ賃貸借契約書の特約事項に定められているケースも多く、解約時にはこの金額を巡って貸主とトラブルになることも多いため、契約時にしっかりと確認しておく必要があります。