社宅制度は、社員に喜ばれる制度ですが、社員と不動産会社との仲介役となる社宅担当者にとっては、大変業務負荷の大きい制度でもあります。
専門的な知識が必要であったり、異動の多い時期は煩雑な業務に追われたりと、お悩みになっている方も多いのではないでしょうか。
近年では、社宅代行会社のアウトソーシングサービスを利用する企業が年々増えています。
では、社宅管理業務をアウトソーシングすると、自社で対応していた業務がどのように進むのでしょうか?
これからアウトソーシングを検討される企業にとっては、なかなかイメージしにくいといった声も多いため、今回は、社員が社宅に入居するまでの新規契約手続きについて一般的な事例をご紹介します。
目次
1.新規契約手続きの流れ
社宅管理業務をアウトソーシングした場合、新たに社宅契約を行う際の手続きは一般的に下記の流れで進んでいきます。
1-1.社宅適用可否の判断をする
まずは、企業内で、社員の社宅適用可否の判断を行います。
転居を伴う異動や、結婚を機に住み替えを行うケースなど、企業によって社宅適用条件はさまざまです。
代行会社が提供するWebシステムを利用して、社員が社宅の入居申請を行い、社宅担当者が承認または否認するという流れが一般的で、場合によっては同時に引っ越し依頼を行うことも可能です。
もちろん、メールやFAXなどでの申請も可能です。
1-2.物件を選ぶ
社宅への入居承認が得られたら、次は物件探しです。
社員が、代行会社からの物件紹介を希望した場合、つぎの条件を基に物件紹介がなされます。
(1) 企業が定める物件契約条件に合致している物件(地域毎に定められた家賃、広さ、構造 など)
(2) (1)に加え、社員の希望条件に合致している物件
社員本人による物件探しを認めている企業の場合は、社員自らが探した物件が、企業が定める物件契約条件に合致していれば、契約手続きを行うことができます。
1-3.契約書類をチェックする
下見などを行ったうえで物件が決まると、次は契約書類のチェックです。
契約条文はもちろん、契約条件の記載箇所やフォーマットなども物件によって異なるため、社宅担当者が負荷を感じる業務のひとつです。
アウトソーシングした場合、契約条文のチェックや条文修正があった場合の貸主・管理会社との調整は代行会社が行うため、企業側でのチェック業務は最終承認のみとなります。
※代行会社との取り決め次第では、企業側での最終承認業務も省略化することができます。
1-4.契約金を支払う
契約書類のチェックが完了したら、契約時の初期費用(初月家賃、敷金、礼金、仲介手数料など)を支払います。
初期費用を入金しなければ社員が部屋のカギを受け取れないため、多くの場合は代行会社が貸主・管理会社への初期費用を立て替えて支払います。
1-5.社員へ入居アナウンスを行う
契約手続きが完了したら、代行会社から社員へ入居に関する案内(鍵の受け取り方法や管理会社の連絡先などの案内)を行い、社員がスムーズに入居できるようサポートします。
1-6.契約締結・保管
社宅の場合、入居までの手続きを短い期間で完了させる必要があるため、正式な契約書の締結は入居後となるケースがほとんどです。
締結した契約書類の原本は代行会社が保管する運用が一般的で、物件の契約情報は代行会社から提供されるWebシステム上で閲覧・出力することができるため、原本保管のスペースを気にする必要はありません。
※Webシステム上で閲覧できる情報や、データ出力時の利便性などは代行会社によって異なります。
2.ほとんどの業務をアウトソーシングできる
これまでの内容をまとめると、一般的には、新規契約時に社宅担当者が対応している業務のうち、承認業務(社宅適用可否の判断、社宅契約の承認)以外の業務は代行会社に委託できます。
最近では、事前に取り決めたルールに従い、承認業務も含めて委託できる代行会社も存在します。
また、社宅適用者として承認が得られた後の、入居完了までのスケジュール管理や、社員や不動産会社からの契約手続きに関する問い合わせ対応も、原則は代行会社が行うのが一般的です。
適切な運用設計を行うことができれば、いま大変な思いをしながら対応している社宅管理業務を、大幅に削減することは難しくありません。
3.さいごに
社宅管理業務をアウトソーシングした場合の新規契約手続きの流れは、ご理解いただけましたでしょうか?
今回は一般的な例としてご紹介しましたが、社宅の運用方法は企業によって千差万別であり、アウトソーシングサービスの内容も代行会社によって異なります。
具体的に検討を行う場合は、自社の理想の運用方法を代行会社に伝え、アウトソーシング後の流れを具体的にイメージできる形で検討するとよいでしょう。