失敗しない!社宅代行会社の見分け方

多くの企業が従業員への福利厚生として導入している社宅制度。

面倒な賃貸借契約手続きが不要になったり、安価な家賃で賃貸物件に住めたりと、従業員から喜ばれる制度のひとつですが、その一方で大変な思いをしているのが社宅担当者です。

特に、定期異動や新入社員を迎える時期は、煩雑な社宅関連業務に時間を取られて他業務に全く手をつけられない!という社宅担当者も多いのではないでしょうか?

そんな時に便利なのが、企業の社宅管理業務を代行する、社宅代行サービスです。

ここでは、社宅代行サービスの導入や見直しを検討している社宅担当者向けに、サービスの実態や失敗しない代行会社の選定方法をご紹介します。

1.社宅代行サービスって?

社宅代行サービスとは、前述の通り、企業における社宅契約手続きや管理業務を代行するサービスです。

一般的には、物件紹介、新規契約・更新・解約精算等の各種手続き、家賃送金、入居中対応、法定調書の作成支援等、社宅管理における一連の業務を代行するものです。

いわゆるアウトソーシングサービスであり、社宅アウトソーシングなどとも呼ばれています。

2.社宅代行サービスの実態

社宅代行サービスを利用している企業は年々増えています。

特に昨今では、人手不足や働き方改革をきっかけとした生産性向上への取り組みが後押しとなり、積極的にアウトソーシングを活用する企業が目立ちます。

■社宅代行アウトソーシング市場の拡大(主要代行会社15社の社宅管理件数推移)※当社調べ

では本当に、社宅代行サービスで業務がラクになるのでしょうか。

実は、一定の業務削減が実現できても、サービス導入後に新たな悩みに直面している社宅担当者は少なくありません。

いまこの記事を読んでいただいている社宅担当者の中にも、以下のような悩みや不満を抱えている方が、たくさんいるでしょう。

2-1. 社宅制度そのものに関する相談ができない!

1つ目は、社宅制度に関するアドバイスがまったく受けられないという悩みです。

社宅代行のプロと言えど、そのサービスの範囲が単なる「事務代行」に留まってしまうと、社宅制度そのものに関する相談・要望には応えられないことが多く、結果的には社宅担当者の知識だけで検討せざるを得ないのです。

■よくある制度に関するお悩み

2-2. 新たなサービス提案が受けられない!

2つ目は、代行会社のフォロー体制に関する不満です。

どの代行会社であっても、10年もあればサービス範囲や品質は確実に刷新されているはずですが、「委託開始後はほったらかしにされている」「こちらから要望しなければ、サービス内容を刷新してくれない」という不満の声をたくさん耳にします。

これらの不満は、代行会社への委託期間が長い企業であればあるほど多いように感じます。

2-3. 残存業務が多い!

3つ目は、社内の残存業務に関する不満です。

社宅代行サービス導入後に社宅担当者が感じる不満や悩みとして、最も大きいものと言っても過言ではないでしょう。

「思っていたよりも業務削減を実感できていない」「委託できると思っていた業務が未だに残存してしまっている」等、社宅担当者の悩みは尽きません。

代表的なものとして次のような残存業務が挙げられます。

① 問い合わせ対応
社宅代行サービスを導入したことで、社宅に関する従業員からの問い合わせは減ったものの、代行会社からの確認連絡が増えてしまった。
結果的に業務の手離れが感じられない。

② 使用料計算、入居期限管理
代行会社の対応業務範囲が狭いため、社宅入居者の使用料計算や社宅入居期限管理といった、比較的負荷の大きい業務が社内に残存してしまっている。
(社宅規定にもよりますが、複雑な計算方法で使用料を計算している場合や、入居期限の管理・通知・督促等を行っている場合、業務負荷はより大きくなります。)

③ 受領データの二重チェック
代行会社から提供される社宅関連データにミスが散見され、社内でのチェック業務が毎月発生している。
※上記②の業務を委託できている場合であっても、データミスに悩まされている企業は少なくありません。

これらの問題を防ぎ、社宅アウトソーシングをより効果的なものにするためには、代行会社の選定方法をしっかりと固めることが必要です。

「できます」「やります」という代行会社のアピールを鵜呑みにせず、詳細を確認したうえで検討を進めなければなりません。

次項では、これまでによく見られた選定方法と、それを踏まえたこれからの選定方法について触れていきます。

3.これまでの選定方法、これからの選定方法

3-1. これまでの選定方法 — 制度企画と実務業務の分離運用 —

これまでは、社宅制度の企画と実務業務の運用をそれぞれ別物として考える選定方法が多く見受けられました。

例えば、社宅制度の策定(見直し)については社内検討もしくはコンサルティング会社へ委託し、実務業務の運用は社宅代行会社へ委託するというものです。

この場合、制度企画側で実現しようとしていたものが、運用側でなかなか実現できないといった状態に陥ってしまいます。

また、代行会社に対してはあくまで「いま必要な範囲」で「実務業務が運用できること」のみを求めるため、将来的に委託範囲を広げることができなかったり、代行会社からの積極的なフォローが受けられなかったりと、結果的に社内の残存業務増につながってしまいます。

■これまでの選定方法

これらを踏まえ、選定方法は次のようなものに変化してきています。

3-2. これからの選定方法 —  企業ニーズの変化に対応できる“パートナー”  —

これからは、単にその時必要な実務業務のみを行う“代行会社”ではなく、法令や環境変化等に伴う企業ニーズの変化に対応できる“パートナー”を選定することが重要です。

制度面・運用面どちらにおいても、将来的な課題を見据えた継続的な提案力・推進力が求められます。

■これからの選定方法

4.“パートナー”を見分ける3つのポイント

では、失敗しない“パートナー”を見分けるには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

「2.社宅代行サービスの実態」でお伝えしたような状態に陥らないために、次の3つのポイントを参考に検討されることをオススメします。

大前提として、パートナー候補先から提案を受ける際は、企業側の要望に対する対応可否だけではなく、その根拠を明示させることが重要です。

【社宅制度改定支援・運用改善提案を継続して受けるために確認すべきポイント】

ポイント①:専門性
■運用面はもちろん、制度面においても社宅代行サービスのプロとして支援ができること

■委託開始後であっても、新サービスや運用改善に向けた継続的な提案ができること

 具体的には・・・
・ 社宅制度の抜本的な改定から部分的な支援まで、十分なサポート体制と実績があること

   特に自社に近しい悩みを抱える企業への支援実績があること
・ 委託開始後のフォローに特化した体制を有していること
  (社宅に影響する法改正時の対応実績、新サービスへの取り組み実績等)

【残存業務をなくすために確認すべきポイント】

ポイント②:安定性
■業務を最大限に吸収できること

■繁閑を問わず一定のサービスレベルが保てる体制であること

 具体的には・・・
 ・ 通常業務に加え、企業側の残存業務を極力吸収できる仕組みがあること(他社での対応実績)

 ・ 属人的要素を排除し、企業ルールに添って業務毎に誰でも対応できる仕組みが構築されていること

ポイント③:正確性
■ミスや漏れを抑制するための体制が整備されていること

 具体的には・・・
 ・ 人為的ミスを極小化(=システム化)でき、高い精度のデータ生成ができる体制であること

 ・ 各業務において、ミスを防止するチェック機能が備わっていること
 ・ 過去に発生したミスへの再発防止策が講じられていること

また直近では、パートナー候補先のオペレーションセンターを見学したり、パートナー候補先のサービスを実際に利用している企業へインタビュー訪問したり、委託後のイメージをより明確にしたうえでパートナー選定を行うケースが増えてきています。

5.さいごに

社宅代行サービスは、無形であるが故に各社サービス内容の比較が難しいと思われがちです。

しかし、将来的に発生し得る課題も含め、自社の課題解決に必要な選定ポイントを明確化することで、パートナー選定の失敗を避けることは充分可能です。

何を優先して評価・検討すべきかを予め明確にし、それらに対する具体的な実績や体制、仕組み、取り組みを細かく確認することが、失敗しないパートナー選定への近道と言えるでしょう。

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